<時事通信社>RSS、200円割れなら下支えの動き

時事通信社様より、天然ゴム市況について取材をお受けしました!

有料サイトでインタビュー記事が配信され、時間を経て使用許諾をいただきました。

 

◎RSS、200円割れなら下支えの動き=経済アナリスト・増井氏

時事通信社J-COM 2022年8月29日より

大阪取引所の天然ゴムRSS先物相場は、6月に付けた267円30銭の直近高値をピーク
に、その後はほぼ一本調子で下落し、足元は220円台半ばで推移している。経済アナリスト
の増井麻里子氏は、中国の景気減速と日欧の新車販売の低迷を原因に挙げる。今後の相場につ
いて「依然水準は高いが、交換用タイヤの堅調な需要や円安を背景に、節目の200円を割る
ようだと下支えの動きが出る」と予想している。

―国際ゴム研究会(IRSG)の見通しでは、2022年の天然ゴムの需要を1.9%増と
し、前年の10.9%増から大幅な低下になった。
天然ゴムの需要はタイヤ向けが75%、国別では中国が3割を占める。中国では4~6月は
ゼロコロナ政策で経済や新車販売が落ち込み、6月以降の相場の下落要因となった。エネル
ギー危機で景気が悪化している欧州も心配だ。
他の地域でも、世界的な半導体不足で自動車メーカーの生産が制限されている。さらに、東
南アジアの新型コロナ禍で、車載用ワイヤハーネスの生産に不安があり、新車生産の低迷は長
期化する恐れがある。

―交換用タイヤはどうか。
日本、欧州では、新車が売れない分、交換用が増加している。米国でも堅調だ。タイヤメー
カーの新車用と交換用の売上比率は4対6とされているが、利益率は交換用の方が高く、メー
カーの増益に寄与している。

―車種別ではどうか。
22年の乗用車用タイヤの需要見通しは、世界全体で新車用、交換用ともに前年比で5%増
とみている。新車に占める電気自動車(EV)の割合が増え、バッテリーの重量増に耐えるタ
イヤが求められているものの、1台当たりのゴム使用量に変化はなさそうだ。
トラック、バス用の大型タイヤの販売では、約9割を占めるトラックが、コロナ禍に伴う巣
ごもり需要で通信販売が伸びた結果、新車を中心に好調を維持している。22年は5%増の見
込みだ。

―最も大型の鉱山用タイヤは。
世界では、電気自動車(EV)需要の増加で銅やニッケル、リチウムなどの鉱山開発が進ん
でいる。逆に脱化石燃料の流れで、炭鉱への投資は細っている。鉱山用は、生産に高度な技術
が必要で、新規参入がなく、ミシュランとブリヂストン〈5108〉の牙城となっている。
メーカーは近年、突然のパンクで作業に支障が出ないよう、空気圧を測るセンサーなどで傷
み方や交換時期を知らせる「予知保全」に力を入れている。22年の需要見通しは10%増
だ。いずれの車種でも中国の需要低迷長期化で、下振れる可能性が出ている。

―供給では、IRSGが22年の天然ゴム生産を4.3%増と見込んだ。
タイの豪雨などが心配されたが、大きな問題はなさそうだ。需給は逼迫(ひっぱく)してお
らず、本格上昇は難しい。地球温暖化によって、各国の産地は徐々に北上している。また、タ
イ、マレーシア、インドネシアに次ぐ第4の生産国として、コートジボワールが浮上してい
る。

―合成ゴム相場は。
原油価格の調整に従い、6月から大幅に下落したが、原油は下げ止まりの兆候が出ており、
合成ゴムの売り要因にはなりにくくなっている。その半面、数年前に比べて供給に余裕があ
り、突発的な上昇も起こりにくい。
もともと、合成ゴムと天然ゴムはタイヤ原料としてそこまで互換性はなく、相場の連動も心
理的な要因にとどまっている。

―RSSの相場予想は。
まだ上値は重いが、交換用を中心とするタイヤ向け需要の堅調見通しに加え、為替の円安・
ドル高基調にも下支えされ、徐々に底堅くなっている。200円を大きく割り込むことはな
く、中国などの景気回復次第でいずれ反転するだろう。
過去には主要生産3カ国が、共同で輸出を削減するなどの価格維持策を打ち出したことが
あった。現行はまだ高止まりといえる水準にあり、その心配はないが、今後200円の節目を
割り込むようだと主要国の動きに警戒が必要になる。3カ国は6月までの高値で今のところ経
済的に余裕があるが、安値に陥れば価格維持策に乗り出すことが考えられる。(了)

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